上田に近い奥州の国境で、武田軍といずこかの勢力が小競り合いを起こしているとの報告を聞き、政宗と小十郎は現地に向かって馬を駆っていた。
「相手はどこの軍勢だ?小十郎」
「調べさせたところによれば、どうやら今川の軍らしいとの事にござります」
「まぁ、誰だろうと俺の庭を荒らす奴は容赦しねぇ。さっさと行って、手っ取り早く片付けちまうとするか」
久々の戦に、血気に逸る政宗を、小十郎が諫める。
「武田と今川の兵がどのくらいの数か分からぬ内は、下手に手を出さぬ方が良いかと。政宗様、くれぐれも勇み足は…」
「やれやれ、いつもの小言は聞き飽きたぜ、小十郎」
馬上でそんな会話を交わしつつ、二人が国境に着いた時、既に戦いは終結しようとしていた。
「Shit…ちょいと遅かったようだな」
「どうやら、武田が今川を打ち破ったようでございますな」
二人が合戦場の様子を眺めると、生き残った今川の兵達が次々と退却していくところであった。
「真田が旗印六文銭、見知りおけい!」
戦場の中央で、勝鬨を上げる者が居る。政宗はその男に目を遣った。政宗の良く見知った男。
「遠からん者は音にも聞け!近からん者は目にものを見よ!真田幸村、日本一の兵なりぃ!!」
幸村が声高に言い、朱槍を高々と天に掲げる。それに呼応するように、武田の兵達が一斉に鬨の声を上げる。幸村の赤い戦装束が陽光に映え、鉢巻が風に棚引いた。威風堂々としたその様は、正しく勇猛果敢な若武者、虎の若子の二つ名に相応しい姿である。
「…やるねぇ。あんな姿を見ると、久々にお手合わせ願いたくなるね」
政宗が目を眇めてヒューッ、と口笛を吹く。小十郎がそれを咎めるような視線を向ける。
「…政宗様」
「わーかってるって。争いが収まったんならそれでいい。騒ぎを起こす気はねぇよ…」
言いかけたその時、政宗の左目にきらりと光るものが映った。出し抜けに幸村目がけて何かが飛んでくる。それは今川の忍が放った苦無だった。
「…!幸村!!」
政宗は咄嗟に馬から飛び降り、疾風の如く刀を抜いて幸村の前に走り出で、苦無を打ち落とした。だが続け様に後ろからも苦無が数本飛んでくる。そのうちの一本が政宗の左腕を掠めていった。政宗は腕を押さえ、思わずその場に膝を付いた。
「…God damn!!」
「…!!…政宗殿!?」
幸村は突然この場に政宗が現れた事に驚いたが、政宗が負傷したのを見て、慌てて政宗の傍に駆け寄った。
「政宗様に怪我をさせた奴…生かしちゃおけねえ!!」
怒り心頭の小十郎は、逃げようとした今川の忍を一刀両断に切り捨てた。そして急ぎ政宗の元へ走り寄り、主の様子を見た。
「政宗様!ご無事でございますか!?」
「…No problemだ、小十郎。それより、戦場で油断してんじゃねぇぜ、幸村」
「…申し訳ござりませぬ。某、敵を打ち破り、慢心しており申した。この幸村のせいで政宗殿に怪我を負わせてしまい…何とお詫びして良いのやら…」
政宗の左腕から血が滲んでいる。幸村はそれを見て眉尻を下げ、心配気に政宗の顔を見た。政宗は微かに笑って右手を幸村の顔に伸ばし、そっと頬を撫でながら言った。
「大した怪我じゃねぇ。あんま気にすんな」
「しかし政宗様、どこかで傷のお手当をせねば…」
顔を顰めて政宗の身を案じる小十郎に向かい、幸村が言った。
「ならば上田城においで下され。ここからなら奥州へ戻るより近うござる」
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上田城に案内された政宗は、客間に伸べられた床に身を横たえていた。傍らでは小十郎が心配そうに政宗の様子を見守っている。
「…ンな心配すんなよ、小十郎。大体、大した怪我じゃねえのに、何だよこの重病人扱いは」
「調べたところ、あの苦無には僅かながら痺れ毒が塗ってありました。お命に別状は無いとはいえ、無理は禁物。今日は大事を取って養生なさって下さいませ」
言われてみれば確かに、左腕が微かに痺れて感覚が無い。政宗は小さく溜息を吐き、仕方ねえな、と呟いた。
「それでは、何かありましたら直ぐにお呼び下さいませ」
小十郎は一礼し、ゆっくりと立ち上がって障子を開けた。すると障子の向こうに、不安そうな表情の幸村が立っていた。幸村は小十郎の顔を見て恭しく頭を下げ、小十郎も幸村を見て小さく頷き、後を任せるように部屋から退出していった。
「失礼いたす」
小十郎と入れ替わりに幸村が部屋に入ってくる。幸村は戦場で着ていたあの真っ赤な戦装束を脱ぎ、少々赤みの強い葡萄茶の着流しに、濃茶の細帯という姿に着替えていた。こうして見ると、戦場で数々の武勲をたてている猛者とは思えない。まだどこかにあどけなさの残る、年相応の普通の少年だ。政宗はその姿を眺め、思わず小さくふうん、と呟いた。
幸村は政宗の床の傍まで足を進め、神妙な面持ちでその場に畏まった。
「傷の具合は…如何でござるか」
責任を感じているのだろう、幸村が心配そうに声を掛ける。政宗はゆっくりと身体を起こし、左目を眇めて、右手の人差し指で幸村の鼻の頭を軽く突いた。
「全く、どいつもこいつも心配性なこって。これくらいの傷、屁でもねぇよ」
幸村は鼻の頭を擦り、申し訳なさそうに視線を床に落としたが、すぐに顔を上げて政宗の顔を見つめた。
「しかし、左腕が利かねば不便でござろう。某に出来る事があれば何でも致す故、何なりとお申し付け下され」
「別に、して欲しい事はねえよ。ンな、気にすんな」
幸村は小さく溜息を吐いて、政宗の左腕の傷に目を遣った。包帯が緩んで解けかかっている。幸村は徐に政宗の左腕に手を伸ばした。
「政宗殿、包帯が…。某がお直し致そう」
そう言いながら幸村は包帯を直そうとするが、どうも手つきが心許ない。何度も解き、何度も結び直すが、中々上手くゆかない。
「え…あれ…?おかしいでござるな」
「Ha…どうやらアンタの手は、槍を振るう以外には向いてねぇようだな」
政宗が半ば呆れたように言うのを聞き、幸村は少し口を尖らせた。だが図星をさされたという気持ちがあるのだろう、僅かに頬が上気し、桜色に染まった。幸村は少し照れたような面持ちで目を伏せた。
「も…申し訳ござらぬ。今、誰かお呼び致す故、暫しお待ちを…」
「待てよ」
政宗は立ち上がろうとする幸村の腕を掴んで引き留めた。そしてそのまま暫し幸村の顔を眺めた。幸村は少し頬を赤らめたまま、不思議そうな表情をした。あどけなく澄んだ瞳が政宗の顔を見つめる。それを見て政宗は軽く口の端を上げた。
「アンタ、さっき何でもする、っつったな。んじゃ、ここに来いよ」
政宗は自分の腹の上を指差した。訳が分からず、幸村が目を瞠る。
「え…???」
「アンタがそんな顔するから、興が乗っちまったぜ…」
きょとんとした顔の幸村の肩を掴んで抱き寄せ、政宗は幸村の耳元で低く囁いた。
「お前がしろ」
「……………!!!!!」
政宗の意図する所を汲んだ幸村は、耳朶まで赤く染めて政宗の腕を振り払う。二、三歩後ろに下がり、額に汗を滲ませながら慌てふためいて叫んだ。
「な、何を申されるか!そ、某は例えば、食事をするのや、体を拭くのの手伝いをと思って…」
「何でも、っつったろ。俺は左腕が利かねえし。これも手伝いのうちだろ?」
「〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!」
幸村はぐうの音も出せない。政宗が更に追い打ちをかける。
「武士に二言はねぇよなあ?」
幸村は困り果て、おろおろと目を泳がせていた。確かに何でもすると言った。それを違える事は、幸村の武士としての沽券にも関わる。ましてや政宗に怪我を負わせたのは、他ならぬ自分の責任だ。だがそれとこれとは別問題ではないか、と、幸村は頭の中で色々と思い巡らせ、葛藤し、小さく首を振ったり、何か言いたげに唇を震わせたりしていた。幸村の動揺がありありと伝わってくる。政宗はそれを可笑しそうに眺めていたが、やがて口を開いた。
「Hey、どうするよ?」
政宗に促され、暫しの沈黙の後、幸村は意を決したようにがば、と顔を上げた。
「わ…分かり申した。さ、真田源次郎幸村、いざお相手仕る!」
やれやれ、刃を交えるって訳でもねえのに相変わらず色気のねぇこった、と政宗は呆れたように鼻を鳴らした。
「し、失礼仕る!!」
幸村は眉尻を上げて叫び、政宗の腹部の上に馬乗りになった。そしてそのまま、顔を真っ赤にして硬直した。
「…で?」
固まったまま全く身じろぎしない幸村に業を煮やし、政宗は幸村の顔を見上げて訊いた。幸村は額からぱたぱたと汗を流しながら、困惑しきった表情で叫んだ。
「そ、某、どのようにすれば良いのか分からぬでござる!」
「何言ってんだよ、いつも俺がしているようにすればいいだけだろ?」
「う…そ、それは…」
勢いよく叫んだ割には煮え切らない。しどろもどろで戸惑う幸村の態度に痺れを切らし、政宗は幸村の顎を掴んで顔を引き寄せた。
「…ったく、仕方ねえな…」
呟きながらゆっくりと唇を重ねる。幸村はぎゅっと目を瞑り身体を強張らせて、相も変わらず初心な反応を見せる。政宗はゆっくりと幸村の唇を吸い、やおら舌を差し入れて幸村の舌に絡ませた。
「ふ………んん…」
幸村の口から小さく甘い声が漏れる。政宗は唇を離し、ゆっくりと幸村の耳の脇から首筋へと舌を這わせた。幸村の身体がびくりと跳ねる。政宗は右手で幸村の着物の胸元を開いて、鎖骨の下に唇を寄せ、強く吸った。赤い花が咲いたように、幸村の肌に鬱血の痕が付いた。
「あ…」
幸村の身体がぶる、と震えた。政宗の耳許に、荒くなった幸村の吐息が響く。それを合図とするかのように、政宗が幸村に言い放った。
「帯、解けよ」
政宗に命じられ、幸村は瞑っていた目を薄く開いた。潤んだ瞳で、しかし幸村は小さく首を左右に振る。政宗は再び幸村に口付け、暫し唇を合わせた後、徐に言った。
「俺は左手が動かねえ。お前が自分で解け」
「う…」
幸村は少し躊躇った後、辿々しい手つきで自分の帯を解いた。濃茶の細帯がはらりと床に流れ落ちる。政宗は幸村の着物の前を開けて手を滑り込ませ、ゆっくりと幸村の下腹部に触れた。
「…!!」
幸村がびくりと身を捩り、政宗の手を拒否する。だが既に幸村の身体は政宗を受け入れられるほどに熱を帯びている。政宗はそれを確かめ、耳許で囁いた。
「どうすればいいのか、分かってるよな?」
「ま、政宗…殿、ご、後生だから、もう…ご勘弁…くだ…され…」
幸村は息も途切れ途切れに、喘ぐように声を絞り出した。
「何言ってんだ、ここまできて、止める訳がねぇだろ?」
政宗は口の端を上げ、愉しげに呟いた。そして幸村の下腹部に顔を埋め、舌を這わせた。幸村は大きく身を震わせて、切なげな声を漏らした。
「う……あぁッ……!!…や、止め…!!」
制止などお構いなしに、暫し幸村を蹂躙した後、政宗は顔を上げ、再び促した。
「どうすればいいのか、分かってるよな、幸村?」
幸村は顔を上気させ、潤んだ瞳で政宗を見たが、顔を逸らし、唇をぎゅっと噛んだ。そしてゆっくりと腰を浮かせ、自分の身の内に政宗を受け入れた。
「ん……ぅ…ッ…」
「OK、それでいい…」
政宗は満足げに言い、右手で幸村の腰を抱き、徐に揺さぶった。幸村の吐息が更に荒くなる。幸村は政宗の背に両腕を回してきつくしがみ付き、肩口に額を押しつけた。身体が小刻みに震えている。唇を噛み締めて声が漏れるのを耐えている様子が、触れた肌から伝わってくる。
「我慢するな…、声、出せ」
政宗が幸村の耳許で囁く。だが幸村は身体に力を入れて必死に耐えている。身の内に押し寄せる快楽をすんなり受け入れるには、まだまだ幸村の情緒は幼い。だが初めてならいざ知らず、既に幾度も身体を重ねており、幸村の身体も政宗の身体に馴染んでいる筈だ。政宗は無遠慮に、己の情動に突き動かされるまま遮二無二、幸村の身体を支配した。
「ま……さむね…どの…ッ……」
政宗の身の上で幸村の身体が大きく揺れる。その度に幸村の唇から小さく掠れた喘ぎ声が漏れる。必死で善がる声が出るのを我慢する様が何ともいじらしい。
政宗はふと、戦場で勝鬨を上げていた幸村の姿を思い出した。燃えさかる紅き焔のような、猛々しい若武者、虎の若子。戦場であれ程威風堂々としていた男が、今、政宗の腕の中で、全てを曝け出し、赤子のように政宗に身を預け、為す術もなく蹂躙され乱れている。その様に、政宗の支配欲が否が応にも掻き立てられる。
「幸村…」
政宗は幸村の顎を掴み、顔を上げさせた。幸村の濡れた瞳と政宗の視線が交差した。
「あ……んんッ、…み、見ないで…くださ…れ…」
切れ切れの熱い吐息の下、幸村が懇願するように言い、顔を背けようとする。政宗はそれを許さず、幸村の顔を無理矢理自分の方へと向けた。
「もっと…アンタの顔が見たい」
部屋の四隅に置いた蝋燭の炎がゆらりと揺らめく。薄明かりに照らし出されて幸村の顔が見える。政宗に全てを支配される幸村の顔。戦場の勇姿からは想像も付かない、生娘のように恥じらう幸村の顔。その全てをこの左目に焼き付けたい、と政宗は思った。幸村が政宗に与えてくれるものは、身の内の快楽だけではない。この男の全てを支配しているという、無上の悦びが政宗の身体を突き抜けてゆく。そんな絶頂感を与えてくれるのは、正しくこの世に幸村ただ一人だけなのだ。
「お人が…悪い……」
涙声で政宗を責める幸村の言葉すら甘やかに耳に響く。政宗は微かに笑い、小声で囁いた。
「どうした?もっと俺を楽しませてくれよ…」
政宗は幸村をきつく抱き、この男の身に自分の全てを刻み付けてやろうと、再び身体の奥底から衝き上げる熱情に身を任せた。政宗の背に幸村が爪を立てる、その小さな痛みすら愛おしい。ずっと見ていたいと思った幸村の顔は、昂ぶる激情の奔流に飲み込まれ、やがて薄れる意識の下へと消えていった。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
「全く…あれ程安静になさるようにと申したではございませぬか」
小十郎が眉間に皺を寄せ、渋い顔で小言を言う。政宗は褥に身を横たえたまま、不機嫌そうな顔をした。
「大した事ねぇって言ってんだろ。…ただちょっと、熱が出ただけだ」
「毒がお体に回ったのでござろうな」
幸村が水桶の中で手拭いを絞りながら政宗の方をちらと見遣った。それを見て政宗は更に顔を顰める。
「…なんだよ幸村。言いたい事があンならはっきり言え」
幸村は政宗の額に濡れた手拭いを当て、口を尖らせながら言った。
「某が看病いたすと、政宗殿の具合が悪くなるようでござる故、今宵は片倉殿にお任せしたいと思うでござる」
「…それがいいようだな」
小十郎と幸村が揃って呆れ顔で政宗の方を見たので、政宗は更に機嫌を損ね、大きく舌を打った。
「…ッたく、どいつもこいつも厭味ったらしい…」
「はーい、お待たせしましたー」
すっと障子が開き、佐助が笑顔で客間に入ってきた。政宗は怪訝そうな顔で佐助の顔を見た。
「…何の用だよ、忍」
「んー?真田の旦那に頼まれてた物を届けにねー」
そう言うと、佐助は懐から小さい甕を取り出し、幸村に渡した。
「おお、かたじけない、佐助」
幸村はそれを受け取るといそいそと蓋を開け、中の液体を小さな椀に注いで、政宗の鼻先についと出した。
「さあ、政宗殿。佐助特製の毒消しの薬でござる。これを飲むでござるよ」
その臭いを嗅いで、政宗は絶句した。その液体は人が口にするような物とは思えない、壮絶な悪臭を放っている。色もどす黒く濁っており、まるで泥水のようだ。
「誰が飲むか、こんなモン!」
「飲まねば毒が消えぬでござる!」
幸村が政宗の口元に椀を押しつける。政宗は顔を背け、精一杯の抵抗とばかりに幸村に向かって小声で言った。
「アンタが口移しで飲ませてくれるってんなら、飲んでやってもいいぜ?」
幸村はぴくりと片眉を上げた。
「佐助」
「はーいはい」
幸村に目配せをされた佐助は、すっと政宗の背後に回って政宗の身を起こし、そのままがっちりと羽交い締めにした。
「な、何しやがる、てめぇ!」
政宗は佐助を振り解こうとしたが、毒のせいで体が痺れ、力が入らない。身動きの取れぬ状態で、政宗は佐助を睨み上げた。
「ごめんねー?恨まないでね、竜の旦那ー」
口では詫びているが、明らかに佐助の声はこの状況を面白がっている。政宗はぎり、と歯噛みした。幸村は椀を持ったまま、つっと政宗の前に出、小十郎に向かって声を掛けた。
「片倉殿」
「…分かった」
幸村に促された小十郎は、政宗の横に歩み寄った。
「政宗様、ご無礼を」
小十郎は政宗に一礼すると、政宗の顎を掴み、無理矢理に口を開けさせた。
「てっ…てめぇ小十郎ッ!!」
「…申し訳ござりませぬ。ですがこれも御身を案じての事、何卒ご容赦を」
「No!止め………」
流石の政宗も、こうなっては為す術が無い。幸村はにこりと微笑み、徐に政宗の口に佐助特製の毒消し薬を流し込み、満足気に言った。
「さ、これで政宗殿のお体の毒も消え、熱も下がる事でござろう。あとは今宵一晩、せいぜい安静になさるがよいでござる」
昨夜の意地悪の仕返しにと、幸村が佐助に少々苦めの薬を調合するようにと言い付けていた事は、政宗は知る由もない。
穏やかな陽光が差し込む広い上田城内に、政宗の苦しげな叫び声が木霊していった。
正式タイトルは「愛でたる花の竹篦返し」。ちょっとおイタが過ぎましたか筆頭(笑
月寒江清